シンディング・ラルセン・ヨハンソン病

このようなお悩みはありませんか?

Sinding-Larsen-Johansson disease 膝蓋骨下極の痛みを示す画像

  • 膝のお皿の下あたりが痛む
  • 走ったりジャンプしたりすると、膝の前側が痛くなる
  • 階段の昇降時やしゃがむ動作で膝が痛い
  • 膝のお皿の下を押すと、ピンポイントで痛い場所がある
  • 成長期で、スポーツをすると膝の痛みが強くなる

膝の痛みの中でも、成長期の子どもに起こりやすく、膝のお皿の下に痛みが現れるスポーツ障害の一つが、シンディング・ラルセン・ヨハンソン病です。

バスケットボール・バレーボール・サッカー・陸上競技など、ジャンプ・ダッシュ・キックといった動作を繰り返すことで、膝蓋骨の下端に負担がかかり、痛みが生じます。

「膝のお皿の下あたりが痛い…」

「ジャンプやダッシュをすると膝が痛む…」

「階段の昇り降りやスクワットで膝に違和感がある…」

このような膝の痛みを放置して運動を続けていると、膝痛が長引いたり、スポーツ活動に支障が出たりすることがあります。

膝のお皿の下端に痛みや違和感が続く場合は、無理をせず早めに大分ごとう整骨院へご相談ください。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病の原因

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病(Sinding-Larsen-Johansson disease/略称:SLJD)は、主に10歳前後の男児に多くみられる、成長期のスポーツ障害です。

10歳前後(小学校3年生くらい)の成長期は、骨や軟骨がまだ十分に成熟していません。

膝を伸ばすときには、大腿四頭筋 → 大腿四頭筋腱 → 膝蓋骨 → 膝蓋腱 → 脛骨粗面へと力が伝わります。

骨模型を用いた膝伸展機構の解剖

この一連の伝導経路を膝伸展機構といいます。

この時期にジャンプ・ダッシュ・キックなどの動作を繰り返すと、大腿四頭筋の収縮による牽引力が膝伸展機構を通じて未成熟な骨・軟骨に繰り返し加わります。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病では、膝蓋骨下端の成長軟骨に負担が集中することで、炎症や小さな裂離が起こり、痛みや圧痛が生じます。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病のレントゲン画像|画像提供は栗原整形外科のご厚意による

同じ膝伸展機構への繰り返しの負担によって起こるスポーツ障害には、膝蓋腱に生じる膝蓋腱症(ジャンパー膝)や、脛骨粗面に生じるオスグッド・シュラッター病などがあります。

関連記事:「剥離骨折」と「裂離骨折」の違いは?

また、この時期は、骨の成長に筋肉や腱の柔軟性が追いつきにくく、膝周囲に負担がかかりやすくなります。

さらに、スポーツの練習量や頻度が増えることも、膝への負担を大きくする要因となります。

① 骨が先に成長する(伸びる)

② 筋肉・腱の長さや柔軟性が一時的に追いつきにくくなる

③ 大腿四頭筋・膝蓋腱などが全体的に張りやすくなる

④ 膝を曲げ伸ばししたときに、膝蓋骨の下端へ牽引ストレスがかかる

⑤ ジャンプ・ダッシュなどを繰り返すことで、膝蓋骨下端・膝蓋腱付着部に小さなダメージが蓄積する

⑥ 膝蓋骨下端の成長軟骨周辺に痛みが生じやすくなる

このようにシンディング・ラルセン・ヨハンソン病は、成長期特有の身体の変化に、ジャンプやダッシュなどの繰り返しの運動が重なることで、膝蓋骨の下端に負担が蓄積して発症すると考えられています。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病の症状

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病の主な症状は、膝のお皿(膝蓋骨)の下端を押したときの痛みや、運動時の痛みです。

膝蓋骨は一般的に膝のお皿と呼ばれるため、丸い形をイメージしがちですが、実際には逆三角形で、栗の実のような形をしています。

この逆三角形の頂点にあたる部分を膝蓋骨尖(しつがいこつせん)といい、ここには膝蓋靱帯が付着しています。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病の圧痛点を★で示す|膝蓋骨の解剖|出典:Image courtesy of Essential Anatomy 5 (@3D4Medical)

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病では、この部分に繰り返し牽引力が加わることで負担が集中し、膝蓋骨尖に限局した圧痛がみられることが特徴です。

また、

  • ジャンプ→着地
  • 走る→減速する
  • キック→軸足側

 など、大腿四頭筋が強く働くシーンでは、筋肉が力を発揮しながら引き伸ばされる遠心性収縮(伸長性収縮)がみられ、膝蓋骨尖に牽引力が加わることで痛みが生じやすくなります。

Q. 遠心性収縮(伸長性収縮)とは?

A. 立った状態からゆっくりしゃがむとき、大腿四頭筋は膝が急激に曲がらないように、ブレーキをかける役割をしています。このとき大腿四頭筋は、力を入れながら徐々に引き伸ばされています。このような筋肉の働きを遠心性収縮(伸長性収縮)といいます。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病と分裂膝蓋骨の違い

同じ成長期に膝蓋骨周辺の痛みを起こす疾患の一つに、分裂膝蓋骨があります。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病では、膝蓋骨尖に圧痛がみられます。

一方、分裂膝蓋骨は、男子に多く、疼痛発現はスポーツ活動が活発になる12〜14歳頃に多いとされています。

膝蓋骨の外上方に分裂がみられるタイプ(Ⅲ型)が最も多く、症状がある場合には、その周辺に痛みや圧痛がみられます。

出典:標準整形外科学 第8版(医学書院)p.544 図29-31

有痛性分裂膝蓋骨の分類(Saupe分類)
タイプ 特徴 発生率
膝蓋骨尖(下極)に横方向に分裂している 5%
膝蓋骨外側に縦方向に分裂している 20%
外上方に斜め方向に分裂している(最多) 75%

下図の★は、分裂膝蓋骨(Ⅲ型)の圧痛点を示しています(写真は左膝)。

有痛性分裂膝蓋骨(Ⅲ型)の圧痛点を★で示す

簡単にまとめると、

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病
→ 膝蓋骨尖

分裂膝蓋骨(Ⅲ型)
→ 膝蓋骨の外上方

と、特徴的な圧痛部位が異なります。

分裂膝蓋骨では、膝蓋骨の外上方に分裂がみられるタイプ(Ⅲ型)が多いですが、シンディング・ラルセン・ヨハンソン病と同じ膝蓋骨の下端に骨片がみられるタイプ(I型)もあります。

I型はシンディング・ラルセン・ヨハンソン病と痛みや圧痛の場所が重なるだけでなく、シンディング・ラルセン・ヨハンソン病の治癒過程で生じた骨片が遺残したものとも考えられており、両者を完全に別のものとして区別できるかについては議論があります。

膝蓋骨下極の小骨片|画像提供は栗原整形外科のご厚意による

病名こそ異なりますが、基本的な対応に大きな違いはなく、まずは積極的安静によって患部への負担を減らすことが中心となり、予後は良好です。

ただし、膝蓋骨下端の痛みが続く場合には、医師の診察を受けることが大切です。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病とスリーブ骨折の違い

成長期の子どもにみられる膝の痛みの中には、シンディング・ラルセン・ヨハンソン病とよく似た症状を呈す膝蓋骨スリーブ骨折があります。

どちらも膝蓋骨の下端周辺に痛みが出るため、注意が必要です。

Q. 膝蓋骨スリーブ骨折とは?

A. 成長期の子どもにみられる骨折で、膝蓋骨の下端から軟骨や骨膜を含む組織が剥がれるように損傷します。剥がれる組織が膝蓋骨を袖(スリーブ)のように包んでいることから、スリーブ骨折と呼ばれます。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病と同じ膝蓋骨の下端に痛みが出ますが、スリーブ骨折では、明確な外傷機序があり、膝を自力で伸ばせないなど、膝の伸展機能に大きな障害がみられることがあります。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病は、ジャンプやダッシュなどの動作を繰り返すことで、膝蓋骨の下端に牽引ストレスが加わって起こるスポーツ障害です。

「運動すると膝のお皿の下が痛い」
「運動後に痛みが強くなる」
「膝のお皿の下を押すと痛い」

といった症状がみられ、急に強い痛みが出るというよりも、徐々に痛みが出てくることが多いです。

一方、膝蓋骨スリーブ骨折は、ジャンプや着地などで膝に急激な力が加わることで、膝蓋骨下端周辺の軟骨や骨膜などが損傷する急性外傷です。

「ジャンプの着地で突然痛くなった」
「急に強い痛みや腫れが出た」
「膝を自力で伸ばしにくい」

といった場合には、膝蓋骨スリーブ骨折も考える必要があります。

簡単にまとめると、

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病
→ オーバーユースによって徐々に痛みが出る

膝蓋骨スリーブ骨折
→ 一度の強い動作をきっかけに負傷することが多い

という違いがあります。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病とオスグッド病の違い

もう一つ、シンディング・ラルセン・ヨハンソン病とよく似ているのがオスグッド病です。

どちらも成長期の子どもに多く、ジャンプやダッシュ、ランニングなどを繰り返すことで、膝を伸ばす仕組み(膝伸展機構)に負担がかかって発症します。

オスグッド・シュラッター病では、

大腿四頭筋 → 大腿四頭筋腱 → 膝蓋骨 → 膝蓋腱 → 脛骨粗面

というつながりを通して、脛骨粗面(膝のお皿より下にある骨の出っ張り)に繰り返し牽引力が加わります。

その結果、成長途中の脛骨粗面に負担が集中し、痛みや腫れ、圧痛などが生じます。

オスグッド病の圧痛点を★で示す

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病と症状はよく似ていますが、大きな違いは痛む場所(圧痛点)です。

簡単にまとめると、

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病
→ 膝蓋骨尖

オスグッド・シュラッター病
→ 脛骨粗面

と、圧痛がみられる場所が異なります。

どちらも成長期のスポーツ活動で起こりやすく、似たような症状を訴えることがあります。

必要に応じてエコー(超音波画像観察装置)を使用し、痛みのある側だけを見るのではなく、反対側の膝とも比較しながら患部の状態を確認します。

成長期の膝の痛みが続いている場合やスポーツに支障が出ている場合には、早めに状態を確認することをおすすめします。

シンディング・ラルセン・ヨハンソンに対する施術

まずは痛みの原因となっているスポーツ活動を一時的に休止し、膝への負担を減らすことが最も重要です。

運動量を適切に管理できれば、それだけで症状が改善していくことも多く、必ずしも積極的な施術が必要になるわけではありません。

一方で、痛みを軽減するとともに、柔軟性を改善して膝にかかる負担を減らすことを目的として、必要に応じて施術を行います。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病の施術方法として、大分ごとう整骨院では、徒手療法、電気療法、圧力波(拡散型衝撃波)療法、ラジオ波温熱療法を行っています。

施術を行なう前に、まずは膝の状態を正確に確認する必要があります。

施術前の評価

・膝蓋骨下極の圧痛確認
・膝蓋腱の状態
・膝関節の可動域(ROM)
・大腿四頭筋の柔軟性

などを徒手検査やエコーで評価します。

また、シンディング・ラルセン・ヨハンソン病だけでなく、オスグッド・シュラッター病や膝蓋骨スリーブ骨折などとの鑑別も考慮しながら、膝周囲の状態を正確に評価します。

ラジオ波温熱療法

大分ごとう整骨院ではラジオ波温熱療法を導入しています。

ラジオ波温熱療法では、膝蓋骨下極への牽引ストレスに関係する筋肉・腱へアプローチします。

特に、

・大腿四頭筋
・膝蓋腱周囲
・ハムストリングス
・下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)

などを中心にラジオ波を照射しながら、徒手療法で筋肉や周囲組織の柔軟性を高めていきます。

中でも大腿四頭筋は、

大腿四頭筋 → 大腿四頭筋腱→膝蓋骨 → 膝蓋腱 → 脛骨粗面

とつながる「膝を伸ばすための体の仕組み(膝伸展機構)」の一部を構成しています。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病では、この膝伸展機構を介して膝蓋骨下極に繰り返し牽引ストレスが加わることが、痛みの原因となります。

そのため大分ごとう整骨院では、大腿四頭筋の緊張や柔軟性をしっかり確認し、重点的に施術を行います。

圧力波(拡散型衝撃波)療法

大分ごとう整骨院では、シンディング・ラルセン・ヨハンソン病に対して圧力波(拡散型衝撃波)療法を行っています。

圧力波療法を行う際には、膝蓋骨の下端(下極)から膝蓋腱の付着部周辺を丁寧に触察し、圧痛点を正確に確認することが重要です。

また、大分ごとう整骨院では、必要に応じてエコーを活用し、患部の状態を詳しく確認しています。

圧力波による痛みの感じ方には個人差があるため、施術中に痛みの程度を確認しながら、出力やアタッチメントの種類を患者さまに合わせて調整します。

無理のない範囲で施術を行いますので、ご安心ください。

電気療法(テクトロン)

電気療法(テクトロン)では、膝のお皿の下(膝蓋骨下極)周囲の痛みに対して、症状に応じて電気刺激やマイクロカレント(微弱電流)を使用します。

膝蓋腱や膝蓋骨周囲への負担に関係する大腿四頭筋(主に大腿直筋)をはじめ、ハムストリングスや下腿三頭筋などの筋肉の緊張にもアプローチし、膝への負担軽減を図ります。

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病でお悩みの方へ

成長期に、「膝のお皿の下が痛い」「走ったりジャンプしたりすると膝が痛む」「シンディング・ラルセン・ヨハンソン病かもしれない」と感じたら、早めの対応が大切です。

大分ごとう整骨院では、丁寧な評価を行い、痛みの原因や膝周囲の状態を確認した上で、一人ひとりに合わせた施術をご提案しています。

成長期のスポーツによる膝の痛みはもちろん、シンディング・ラルセン・ヨハンソン病が疑われる場合にも対応しておりますので、大分市で膝の痛みでお困りの方はお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

大分ごとう整骨院の柔道整復師 藤澤琉人先生

 

文責

大分ごとう整骨院

藤澤 琉人

【保有国家資格】柔道整復師

シンディング・ラルセン・ヨハンソン病のよくある質問 FAQ

Q1. シンディング・ラルセン・ヨハンソン病は何歳くらいに多いですか?

A. 成長期の子どもにみられ、特にスポーツをしている小学生〜中学生に多い膝のスポーツ障害です。10歳前後に多くみられます。

Q2. 痛みがあってもスポーツを続けて大丈夫ですか?

A. 痛みを我慢しながら運動を続けることはおすすめしません。まずは原因となっているスポーツ活動を一時的に休止し、膝への負担を減らすことが重要です。運動量を適切に調整することで改善していくケースも多くみられます。

Q3. どのくらいで治りますか?

A. 症状の程度や運動量などによって異なるため、一概にはいえません。数週間で改善するケースもあれば、スポーツ復帰まで数か月かかることもあります。

Q4. オスグッド・シュラッター病とは何が違いますか?

A. どちらも成長期に起こりやすいスポーツ障害ですが、痛みが出る場所が異なります。シンディング・ラルセン・ヨハンソン病は膝蓋骨尖(下極)、オスグッド・シュラッター病は脛骨粗面に痛みや圧痛がみられます。

Q5. ジャンパー膝(膝蓋腱症)とは違うのですか?

A. どちらも、膝を伸ばす働きを担う膝伸展機構に繰り返し負担がかかることで生じるスポーツ障害という点では共通しています。
ただし、主に負担がかかる場所が異なり、シンディング・ラルセン・ヨハンソン病は成長期の膝蓋骨尖(下極)、ジャンパー膝は膝蓋腱に痛みや圧痛がみられます。

Q6. 膝の下が急に強く痛くなりました。シンディング・ラルセン・ヨハンソン病ですか?

A. シンディング・ラルセン・ヨハンソン病は、一般的にはスポーツを繰り返すうちに徐々に痛みが出てきます。転倒やジャンプなどをきっかけに急激な痛みや腫れが生じた場合には、膝蓋骨スリーブ骨折なども考える必要があります。

Q7. エコーで確認できますか?

A. エコーでは、膝蓋骨下端や膝蓋腱付着部周辺の状態を観察することができます。大分ごとう整骨院でも、必要に応じてエコーを使用して患部の状態を観察していますが、診断を行うものではありません。シンディング・ラルセン・ヨハンソン病の診断には医師の診察が必要です。

Q8. 成長すれば自然に治りますか?

A. 成長とともに症状が落ち着いていくことが多く、一般的に予後は良好です。ただし、痛みを我慢してスポーツを続けるのではなく、痛みがある時期に運動量を適切に調整することが大切です。