1巻の包帯ができるまで
2026年07月2日
大分ごとう整骨院ではよく包帯を使います。
患者さんの中には、「新品の包帯を開けて、そのまま巻いている」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
でも、実はそうではないんです。
患者さんに巻く1巻の包帯が完成するまでには、意外と多くの工程があります。
今回は、普段はなかなか目にすることのない『包帯づくり』をご紹介したいと思います。
「裏ではこんなことをしているんだな」と知っていただけたら嬉しいです。
① 包帯を束ねる
初めてご覧になる方もいらっしゃるかもしれませんが、新品の包帯はこのように紙で包装されています。

包帯を取り出したら、一本一本を輪っか状にして束ねます。


そのまま洗濯機に入れてしまうと、包帯同士が絡まり、あとでほどくのが大変になるからです。
少し手間はかかりますが、このひと手間が、その後の作業をスムーズにしてくれます。
② 洗濯ネットに入れて洗う
束ねた包帯を洗濯ネットに入れ、洗濯します。

新品の包帯には製造時の「のり」が付いています。
そのままでは少しサラサラしていて、思ったように巻くことができません。
イメージとしては、新品のタオルと、何度か洗濯したタオルの違いに似ています。
洗濯したタオルの方が肌になじみやすいですよね。
包帯も同じように、一度洗うことで、のりが落ちて肌へのフィット感が増し、包帯が重なる部分も滑りにくくなるため、ズレにくく、きれいでしっかりとした固定ができるようになります。

③ 包帯をほぐす
洗濯が終わったら、そのまま干すわけではありません。
洗いたての包帯は繊維が縮み、寄れたりねじれたりしてるので、シワを伸ばしながら一本一本ほぐしていきます。

この工程を省いてしまうと、あとで巻軸包帯※を作る際の仕上がりにも影響し、後述する「良い巻軸包帯」にはなりません。
※ 巻軸包帯(かんじくほうたい):ロール状に巻かれた包帯のこと

④ 一度、巻軸包帯を作って干す
次に、一度巻軸包帯を作ります。
この段階では、きれいに巻く必要はありません。
巻軸包帯にしておくことで、干すときに手の中でコロコロと転がしながらカーテンレールへ掛けていくことができ、作業がとてもスムーズになります。

大分ごとう整骨院では、このようにカーテンレールやロープを張って乾かすことが多いです。

⑤ 包帯巻き器で仕上げる
包帯がしっかり乾いたら、いよいよ最後の仕上げです。
包帯巻き器を使い、一巻一巻丁寧に巻き直していきます。
包帯巻き器も、一般の方はほとんど見る機会がないと思います。

ちなみに、これは学生時代に購入したもの。
平成の時代から20年以上使い続けていますが、今でもバリバリ現役です。
電動の包帯巻き機もありますが、私はあえて手動のものを使っています。
手動の方が包帯のテンションを細かく調整でき、自分の思い通りに仕上げられるからです。
そして、この工程は毎回ちょっと気合いを入れて取り組みます。

一見すると、ただクルクルと巻いているだけに見えるかもしれません。
でも、ここが一番技術のいる工程なんです。
包帯の繊維が偏らないように、均等なテンションで、硬くきれいな巻軸包帯へと仕上げていきます。
同じ巻軸包帯でも「良いもの」と「悪いもの」があります。
製品そのものの良し悪しではありません。
洗い方や干し方、そして最後の仕上げ方によって、包帯の使いやすさは大きく変わります。
巻軸包帯の仕上がりが悪いと、包帯に変なクセがついてしまい、実際に患者さんへ巻くときに思ったような走行で巻けなかったり、包帯を「面」で患部へ当てることが難しくなったりします。
逆に、きれいに仕上げられた巻軸包帯は素直に走り、均一な圧で巻くことができます。

この違いは施術者にとっての「巻きやすさ」だけではありません。
仕上がりの悪い巻軸包帯は圧が均等に入りにくいため、強く締まりすぎた「緊縛包帯」になりやすく、患者さんの負担が大きくなったり、血液の流れに悪影響を及ぼしたりする可能性があります。
一方で、きれいに仕上げられた巻軸包帯は圧が均等にかかるため、患部をしっかり固定しながらも、必要以上に締め付けない、安全な包帯固定ができます。
きれいな巻軸包帯を作ることは、患者さんの安全につながるのです。
長年包帯を扱っていると、手に取った瞬間に「お、これはきれいに仕上がってるな」と分かるようになります。
包帯は柔道整復師の原点
患者さんが目にするのは、きれいに巻かれた包帯だけです。
しかし、その裏側では、束ねて、洗って、ほぐして、干して、巻き直すという多くの工程を経ています。
一見すると地味な作業ですが、この積み重ねが、使いやすく、患者さんにとっても施術者にとっても良い包帯につながっています。
今では、この作業は柔道整復師の藤澤先生が担当してくれることも多くなりました。
それでも、包帯づくりだけは、きっと何年経っても自分でもやり続けると思います。
整骨院で骨折・脱臼・捻挫を扱う柔道整復師にとって、包帯を巻く技術は施術の原点です。
修業時代、この包帯づくりは毎日のように行っていました。
同期の中には、「面倒くせえ」と愚痴りながらやっている人もいましたが、私はこの作業が好きでした。
包帯の繊維一本に目を凝らし、偏りはないか、どうすればもっと巻きやすい包帯になるのかを考えながら、黙々と作業をしていた経験が、今の自分の技術や考え方の土台になっています。
魂は細部に宿る━━

誰も気にも留めないような細かな工程を、一つひとつ丁寧に積み重ねながら、初心を忘れず、これからも患者さんをお迎えしていきたいと思います。
大分市で骨折・子供の肘内障・肩の脱臼・足首の捻挫・肉離れなどの運動器のケガでお困りの方は、大分ごとう整骨院へご相談ください。
手間暇かけて仕上げた包帯をご用意してお待ちしております。
【参考文献】
社団法人 全国柔道整復学校協会・教科書委員会 編
『包帯固定学』2003
文責
大分ごとう整骨院
院長 後藤佑輔
【保有国家資格】柔道整復師・柔道整復師専科教員・社会福祉士


